「怖かった。本当にこれでいいのかなと思ったけど、2ソーの場況が良かった」
パイレーツ・鈴木優は試合後、控室でチームメートに問いを重ねながら、振り返った。
なにしろ、相手は麻雀(マージャン)の最高得点「役満」の一つ、大三元のテンパイの可能性があった。
それでも状況を見つめ、有利とみて攻める決断をした鈴木。ファイナル折り返し地点の5日目、他チームに差をつけて首位を快走するパイレーツが、その座を盤石にするトップをとった。
元Mリーガーの朝倉康心プロは「自分のアガリをぎりぎりまで追う、優さんらしい局。ここで加点できずに3着などで終わっていたら、後の試合の展開も変わっていたはず。『優勝を決めたリーチ』だったと思います」と振り返った。
牌(はい)図はドリブンズ・渡辺太、サクラナイツ・堀慎吾、パイレーツ・鈴木優、風林火山・二階堂瑠美による5月13日の第2試合東4局7巡目。鈴木は2着目の渡辺と7200点差のトップ目に立っている。
この局は、配牌で「発」と「中」をトイツ、「白」を1枚持っていた堀が積極的に仕掛ける。3巡目に発をポン。河はマンズ、ピンズ、ソーズが全色手出しされている。
ここで鈴木は白を引いてくる。堀の方にちらりと視線を向けると17秒ほど考え、ツモ切り。即座に堀から「ポン」の声がかかった。
朝倉プロは「ホンイツ(混一色(ホンイーソー))と役牌2種類くらいの仕掛けならあまり怖くないが、全色余っていると大三元など高い手を想像してしまう。ただ、放銃さえしなければあまり悪くはならない点数状況。ポンされたら次の選択を変えようという判断」とみた。
- 朝倉プロによるMリーガーの打牌解説「この一打」はこちらから
直後の8巡目、今度はアンコになっていた6ソーをもう一枚引いた。
「普段ならここはカンにしそう。手の中に9ピンのアンコがあるので、6、9マンか2、5ソーのリャンメン待ちリーチにいけるし、同じ牌を引いたら雀頭にもなる。受け入れが減らず、打点が上がる選択」と朝倉プロは解説する。
だが、鈴木はすっと6ソーをツモ切った。
なぜカンしなかったのだろう…